第4回 みちのく津軽ジャーニーラン 177k その4
ちょっと話が脱線しますが…
TJARという大会をご存知でしょうか。
詳しくはリンク先のWEBサイトを見ていただくとして、このWEBページ内の「TJARとは」に書かれている一文の抜粋
「烈風に晒され追い詰められる自分、悲鳴をあげる身体、絶望的な距離感、何度も折れそうになる自分の心」
今回のみちのく津軽ジャーニーラン、烈風に関しては殆どありませんでした(夜の十三湖付近で強烈な風はありましたが)が、他の要素に関してはレベルは全く違えど激しく頷くばかりです。
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67.4km地点亀ヶ岡遺跡エイドを出発する際、エイドをほぼ同時に出た横浜からいらっしゃっている、自分よりふた回りほども先輩のS藤さんと進むことになった。
ここまで色々な方と話はしたものの、好んで並走したりということはしてこなかった。しかし夜が近づくにつれ、だんだん心細くなって来ていたのは事実。
のちに分かったことだけど、S藤さんもかなり心細かったようで、お互い様の関係であったことがわかり嬉しかった。
鯵ヶ沢町の辺りで数キロのコースロストをしてしまい、以降、かなり慎重になっているとのこと。
出たことのあるレース、普段の練習の話、好きな食い物、家族の話、いろんな話をした。
S藤さんとは結局、鰊御殿を超えて第6エイドステーションの金木町観光物産館の先にあるローソンまでご一緒した。
ゴール後、S藤さんはDNFされていたことを知る。これは後述しますが、少し責任を感じてしまう部分が少なからずあった。
話は戻る。
亀ヶ岡遺跡を出て7km、案内通り集落の中にファミマが見えて来た。
この先の鰊御殿までは食料飲料を調達できるのはここしかない。
まずは長い夜に備えてしっかりとした食事を摂ることに。
S氏とお互いカレーを食べたいと話しながら来たので真っ先にカレーを探す。
ポークカレー1個 しかない。
手に取るS氏。
自分はすぐ横にさらに高級なビーフカレーがあることに気づく。
Sさんこっちにビーフがありますよ。
ビーフカレーの苦手な自分は念ずるようにS氏にアピール。
ああ、そっちがいいな。
カレー問題は円満に解決した。
十三湖という湖の側を通る。
いきなり風が強くなり、モンベルのペラペラが激しく揺さぶられる。
このレース中、唯一寒いと感じた区間。
湖に映る月が綺麗だった。
津軽の夜のロードは本当に長い。そして暗い。
ハセツネの経験があるから、まぁそれと比べればなぁと考えていたけれど、同等の怖さ暗さだった。もし一人ぼっちだったら、泣きそうになっていたはず。 闇は怖いね。
鰊御殿までもう少しだろうと見当をつけた辺りから、いくら進んでも見えてこない。
あの角を曲がったら…と思って期待してると、遥か彼方に折り返して来ているランナーのヘッドランプが見える。
そんなニセ鰊御殿現象を3、4回繰り返し、ようやく本当の鰊御殿にたどり着いた。
鰊御殿とは、かつてこの地で盛んだった鰊(にしん)漁の番屋を復元したもの。当時の資料や漁具などが展示されていて、宿泊も可能な建物だ。この大会の95.3km地点でもありほぼ中間点と言っていい。
ここにはドロップバックを送ることができ、必要なものを取り出し、不要なものはまた預けることが可能となっている。
他には温かい食事(カレー・味噌汁など)などが提供され、風呂にも入れるレストステーションとなっている。
畳の間で寝ている人もいるが、あまり長居すると危険だということを事前情報で感じていたので、ここではソックス以外のウェアを全着替え(足裏がすでにヤバそうだったのでソックスは脱ぎたくなかった)してリフレッシュしたのち、カレーを大盛りでご馳走になった。この日2回目のカレーだけれど本当に美味しくて染みたよ。
ここまで眠気はほとんどなく、予防策的にコーヒーをいただく。
ライト類の電池を予備と交換してすぐにエイドを後にした。
そうそう、腕につけているGPSはガーミンのForeAthlete 935であるけれど、こいつはGPSモードで最大21時間のバッテリー容量となっている。GPSの精度を落としたくなかったので最大44時間のウルトラトラックモードにはしたくなかった。つまりこのレースを時間いっぱい楽しもう(制限37時間)と思っている自分には稼働時間が圧倒的に足りない。
そこでこの鰊御殿に限らず、エイドで小休止するときは必ずモバイルバッテリーを使って継ぎ足し充電をした。さらに稼働を伸ばすために心拍センサーはOFFに。この作戦が上手くいって、無事に完全なログを取ることができた。
惜しむらくはナイトセクションで一枚も写真を撮っていないことだ。
いや、夜が明けてからもゴールまでほとんど写真は残っていない。
単純に余裕がなかった。
写真を撮ってる暇があったら1歩でも前に進みたかった。
夜明けの岩木山は美しい雲をまとって絶景だったな。
目に焼き付けてきた。
鰊御殿から次の第5エイドの総合文化センター「パルナス」までは23キロほど。その途中の県道12号合流点で263kmの部のヘンタイ(これは尊敬語である)達と合流することになる。
もう空はすっかり白んできていた。
我々よりはるかに長い距離を移動しているにも関わらず足取りが軽い。
笑顔も見える。
これがヘンタイの実力か。
敵わない。
S氏とくだらないことを話し、笑いあいながら走ったり歩いたり。
不思議なことに、今思い返してみてもパルナスってどんなところだったか思い出せない。入っていく手前にドラッグストアのあったところか?記憶が飛んでいる。
ただ、このパルナスでレース数日前に検索で見つけて知り合ったブログ主の羅王さんがその巨体を横たえていたのだけは覚えている。
そしてこの羅王さんとの出会いが、またこのレースでのターニングポイントだったと思う。
なんとなんと、写真一枚もなしにその5へ続く(笑)