第6回 大雪山ウルトラトレイル
この大会は初回の36kmから参加しはじめて皆勤賞。
第2回は40kmを完走。
第3回から3年連続ロングの80kmに挑戦してきましたが、いずれも山岳ステージに入る前の林道でタイムアウトという結果に終わっています。
今回、もし完走できなければしばらくトレイルレースを休もうという決意で準備し、エントリーしました。
自分は色々なレースでDNF(「DNF」とは英語で「Do Not Finish」、フィニッシュできなかった、スタートはしたけども途中で棄権、という意味)してしまうことが多い根性無しランナーですが、大抵は次のリベンジで何とかねじ伏せてきました。
でも、この大会だけは3度跳ね返されており、自分にとってハードルが高く、それだけに思い入れの強い大会であります。
今回ダメなら「トレランやってます」なんていうのはもうやめよう という決意で臨みました。
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前夜祭ではゆるキャラに癒やされ
よく見ると間にミクが(笑)
チャーリーさん、マリさんとノンアルでプチ宴会
昨年までは前夜祭後、一旦帰宅して深夜に出てくるというパターンで来ていたけれど、スタート前にもっとノンビリしたいなという思いから車中泊にした。
結果コレは大正解で、着替えたらすぐ出走できるというのはとても大きなアドバンテージだと感じた。まぁ、シャワー浴びて寝たいなとは思ったけれど。来年は前夜祭終わったら一旦、丸瀬布まで戻って温泉入ってくるってのもアリかも。
午後9時前には横になって午前2時起床。
ちょっと路面が濡れているが、雨はあがっている。
気温もそれほど高くないし、少し風があるので湿度も気にならない。
スタート前にチャーリーさん、昨日の前夜祭で初めてお目にかかったネムネムさんとシューズ円陣!
こういうの小っ恥ずかしくてやらない方なんですが、楽しかった♪
偶然とは言え、みんな赤いシューズ!
午前4時 ユルユルの雰囲気のままスタート
心拍を落ち着けつつ緩い林道の登りに突入。
そして事件は起こった。
スタートして3kmを過ぎた頃、後方から軽自動車がビービーとクラクションを鳴らして凄い勢いで抜いていった。
???
「熊でも出ましたかね?」
周りの人と話していたら
「ロストーーーーーー!!! 戻って〜!!!」
マジか!?
まさかの全員ロスト。
どこまで戻るんだと戻っていくと、スタートして500mほどの地点まで戻ってやっと正規のコースへ復帰した。
正規のコースへ行く方向に、駐車禁止を示すためのコーンが置いてあったらしく、ランナー全員が「こっちへ行くな」の意味に取ってしまい、トップランナー以下、全員が全く疑うこと無く進んでしまったということらしい。
事前にコースを試走して、コースガイダンスまで担当された方もロストしているのだから笑ってしまうしかない。
トップ集団には声かけが間に合わず、17kmコースを逆走で一周してしまったらしい。
来年は絶対この分岐にスタッフ配置必須だろうね。
このロスト事件は語り継がれるでしょう。
さぁ、正規のコースに戻ったは良いけれど、こちとらギリギリランナーな訳ですよ。
第1関門まで32kmを5時間で行かにゃぁならん。
登って降っての林道を行くのですから結構ギリギリだなぁと計算しているのに、約6km、時間にして40分ほどのロスが生まれたわけです。
これは大事件なのですよ
ロストで引き返しているときに「いきなりトップ集団になった!」と笑っている人がおりましたが、笑えないんですわ。
時間だけのロストならなんか頑張れそうな感じもする。
でもねでもね、聞いておくれ。
体力もロストしてるんですわ!
そんなもん気力でなんとかせーや って思うでしょ。
そうだよね。
でもねでもね、聞いておくれ。
精神的にもロストしてるんですわ!
こうして幾つものロストを抱えた悲劇のランナー(笑)として、泣きそうになりながら時間との闘いが始まりました。
A1はポカリを補充してすぐに通過。
この辺りで雨が強くなってレインジャケットを着込むランナーが目立ちましたが、正直そんなことで停まってたら時間が足りなくなると思ってたので、集中してとにかく走りました。この辺りでは所謂「ゾーン」に入っていたと思いますね。
いつもはカメラマンがいると必ず笑顔でポーズ作ったりしますが、オールスポーツの写真はぶっさいくな真顔で写ってました。
A2、A3と順調に通過。
登りも思った以上に走れている。
A3通過後に脳内コンピューターで時間を計算する。
よっしゃ! 気合い入れていけば関門に間に合うな。キタコレ!
と、ケイデンスを上げながら走っているとコース誘導のスタッフさんが
「山へ入らず、第1関門から折り返してくることになりました」
はい?
今何とおっしゃいました?
2度3度聞き直したが意味がわからない。
頭に?マークを100個ぐらい並べたまま登山口までの急登を登っていく。
第1関門まであと1kmぐらいの場所で前方から降りてくる選手と遭遇する。
「第1関門から折り返すコースになりました〜」
なりました〜
なりました〜
なりました〜
頭の中真っ白。
はぁ???
その後も続々とランナーが降りてくる。
ナニナニナニ? どうなってんの?
ネムネムさん、チャーリーさんともスライドするが事情がわからない。
第1関門制限2分前に到着!!!
ついにここまで来たっ
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何か様子がおかしいよね。
皆戻って行ってるしね…
大雪トレイルランナーズの前田さん(毎年、この登山口スタッフを統括する責任者をされておられます)に話を聞くと…
山は濃霧でコースが見えないほどの視界不良になっており、さらに風速20mの強風で、先行しいていた誘導スタッフが低体温の症状を発症してしまったらしい。
山岳エリアをゴッソリ削り、レース続行。
以降の関門全て撤廃という変更がなされた。
関門撤廃
自分のレースはここで終わった…
この日にかけてきた。
山に行かない大雪ウルトラを走る意味を見出せない。
林道を走る練習?
持久力をつけるいい機会?
確かにマイナスをポジティブに捕らえるのはとても大事だ。
だけど、だけど…今はダメだ。
頑張れない
登山口の入口を眺めながらしばらく考えた。
リタイヤバスに乗るか、この先どういうコース設定になっているかも知らされないまま林道を走り続けるか…
この日、自分から撤退 というのだけは避けたかった。
ここで辞めたら、この後の自分のラン人生に関わる と思った。
しかし関門時間も撤廃されたユルユルのレースを続ける意味なんてあるのか?
前田さんが声をかけてくれた。
「リタイアバスもうすぐ出るよ」
やさしい、やさしい表情で。
いえ 大丈夫です…
前田さん、ありがとうございました。
声かけられなかったら、バスに乗ってたと思います。
続行を決めたはいいけれど、山岳エリアが無くなった今、モチベーションは底の底。
エイドのあんパンを3、4つ持って歩き出し、完全に遠足モードに入った。
次のエイドが何キロ先にあるのかもわからない。
終わりの見えないレース。
何キロ降ったり登ったりしただろう。
林道がロードになってA2が見えてきた。
そこに変更の内容が貼り出してあった。
ほほう、第7エイドに「セイコーマート有り」と書いてあるな。
ということは本来A6で配布される予定だったセイコーマート提供のメロンモナカアイスがあるということだ!
そこまでは頑張ってやろうじゃないの。
もう、それだけがモチベーションとなった(笑)
ずっと曇り空で雨が降ったりやんだりだったのが、急に晴れてきた。
憎らしいぐらい綺麗な青空と雲。
この辺りから足裏に痛みを感じた。
あー多分、水膨れになってるわ。破れたら厳しくなるなぁ。
やっとのことでA7到着
さぁ、メロンモナカアイスちょうだいぃぃぃ!!!
ごめんなさい 売り切れました
言葉がない。
こんなエイドに用はない!
と、思ったがスポドリを補充させていただき、チップスターを10cmぐらい摘まむ。
蝶々がエイドから流れ出たスポドリを飲みに来ていた。
歩くより、走った方が楽なことに気づく。
ヨロヨロながら走る。
段々スピードが乗ってきた。おお、キロ6出てるじゃん(笑)
あと1km
実はこの表示、コースロストしたときに裏から見てるんだよねぇ。
変だなぁと思ってたんだ(笑)
ここで気づいて戻ってたら違う展開になってたよなぁ。
最後は笑ってゴール
完走証はいただいたものの不完全燃焼。
素直に喜べない。
妻とミクはゴールに間に合わず。
ミクは関係者の皆様の目に留まり、可愛がっていただいていた(*^_^*)
翌日、メロンモナカを3つ買って喰った
一応ゴールまで行けたので、トレイルやってます ってことにします。
完全リベンジは来年におあずけ
ふぅ